pusukoのブログ

京都のラーメンがすきです.

人生はサインカーブ

「就活したことないAC」の12/5ぶん*1を担当します@pusukoです.就活したことないリスト*2の先輩方には本当にいつも可愛がっていただいておりまする.多謝.

このACの趣旨は「就職するか進学するか迷っているM1の学生さんの参考になるように」とのことですね.私としては,先輩から受けた御恩を還元するためにも,かわいい後輩が喉から手が出るほど欲しい今日このごろ.「良いことばかり話して勧誘したい」そんな気持ちをグッと堪えて,正直に書いてみたいと思います.ただし,あくまでイチ学生のイチ体験談です.

 

アウトライン

さて,まだまだひよっこの私ですが,私が書けることで参考にしてもらえることはなんだろう?とウンウン考えた結果,以下のトピックについて少しずつ書くことにしました.この半年間の出来事です.

  1. ぷすこ,カリフォルニアへゆく〜留学準備編〜
  2. ぷすこ,学振DC1面接へゆく〜珍道中〜
  3. (おまけ)ぷすこ,アメリカのごはんをもりもり食べる
 
多いですね.でも私の担当1回しかないんで詰め込みました.
あまり長々と書いても仕方ないと思いますので,結構はしょってます.もし詳しく知りたいことがあれば直接twitter@pusukoに連絡くださいませ*3

ぷすこ,カリフォルニアへ行く

f:id:pusuko:20121209144916j:plain

ある平和な平日の朝,居室の電話がなりひびいた.受話器を取ると,聞こえてきたのは指導教員であるm教授の声.

「iさん?ちょっと来てくれる?」

私が教授室へ行くと,m教授は

「こんなメール来てるんだけど.」

と私にメールを見せてくださった.そのメールには「某財団が1年間の海外留学への助成制度募集かけてるんだけど,学内選考の枠余ってるし,ちょっと学生こえかけて応募させてよ!」みたいなことが書いてあった.そしてm教授は言った.

「今決めてくれない?」

えっ

「応募するなら,この返信メールの送信ボタン押して.」 

私はしばし逡巡した.

(えっ.い,いますぐ!?1年って長いよなあ...しかも,いまから(当時m1)行くとなると休学か...う〜ん.)

でも兼ねてから留学にはどこかのタイミングで行きたいと思っていたし,ちょうど当時読んでいた歴史小説*4の中で「まじで戦では機が大事.逡巡して機をのがしたら軍壊滅する」みたいなシーンに差し掛かっていたところだったので,これこそ機ではと思い,えいやーっと送信ボタンをクリックした.

m教授「あ〜あ,押しちゃった.」

わたし「えっ」 

 

と,いう呼び出しがあり,学外選考のための書類(申請書と研究計画書(A4 2ページ),指導教員からの推薦書等*5)を急いで用意しました.この留学助成(某Kの財団)は数ある助成制度の中でもかなり条件の良いものでした*6.申請書を出したのはm1の初夏.無事冬には内定通知がきました.ありがたいことです.

 

 「あ〜あ,押しちゃった」が意味したもの

当初は休学も覚悟していましたが,m教授と相談し,秋に半年短縮で修了して博士後期課程入学,直後から留学開始というのを目指すことにしました.そう,ここからツンドルランキング*7上位を独走する日々が始まったのでした.

☆ツンドルのスケジュール☆

〜3月

  • 研究計画を詰める
  • 卒業単位を取り切る*8

3月〜5月

  • 実験とデータの解析
  • 海外での受け入れ先探し*9

6月

  • 修論予備審査*10

7月

  • ビザ申請*11,事務処理(修了関係と留学関係)
  • 修論提出

8月

  • 院試(筆記+面接)
  • 公聴会

+学振申請書作成(4月),DSPのTA*12(〜3月),プログラミング演習TA*13(4月〜7月)

 

もし同じように早めに修論書いて海外留学したい,と考える学生さんがいれば上のスケジュールを参考にしてください*14.そして何事もそうですが,早めに取り掛かった方がよいです.いよいよ本格的に詰みはじめた6月以降は.常に締め切りまでの残り時間数を基準に暮らしてました.1つでも落とすと全部おじゃんというスタンプラリー的なスケジュールの組み方は,精神的になかなかのプレッシャーを感じるのであまりオススメはしませんね.本当に周りの方々のお世話になったし,自分のダメなところばかりが浮き彫りになって,みるみる自信を喪失していった.

ただ,それによって得られたものも多かったです.博士後期課程での海外留学といえば「D1で自分の研究の足場を固めつつ,D2で顔を売りつつ視野を広げるために数ヶ月の共同研究や企業インターンに行く」というのが一般的なケースではないかと勝手に思ってます.そしてそれが効率的だと思います.でも私の場合は,力任せなスケジュールながらも,この場所にこの時期来れたのは本当に良かったという気がします.毎日のように新しいことを知って,固定化してた価値観がゆさぶられてます.

博士進学を目指すM1学生さんには,1つの選択肢としてこのようなケースもあると思ってもらえると光栄です.選択肢は多いにこしたことはないですよね.

 

プス子,学振面接へ行く

学振DC1の面接

学振DC1の書類選考の結果は,「採用」「不採用」そしてボーダーである「面接候補」の3種類のいずれかとなります.私はこのうち「面接候補」という結果を,カリフォルニア到着直後の滞在先ホテルにて確認しました.留学開始直後ということもあり,数日悩んだのですが,結局は一時帰国して面接を受ける事にしました.

面接は東京で,一人あたりの持ち時間は発表4分,質疑6分です.発表資料はA4横型のポスター1枚のみ.もちろん交通費等の負担は自費です.面接の細かい内容については,また最終的な結果が通知されてから振り返りたいと思いますが,今は割愛します.

 

面接への道中

面接での道中は,試練続きでした.もとはサンフランシスコ経由で関空までの便に乗り継ぐ予定だったのですが,サンフランシスコまでのアメリカ国内便が遅れに遅れ,着いたのは乗り継ぎ便出発の1時間後.航空会社のカウンターで聞くと「あ〜,次の便は明日ですね.荷物?それも明日受け取ってね!」との気のない返事.しばし呆然としましたが,荷物だけはなんとか奪還し,即ホテルを予約,サンフランシスコで一泊過ごすことに決めました.雨の中,重たいスーツケースひきずって知らない街を歩きまわるのは心細かった....

そしてホテルについてほっとしたのも束の間,スーツケースの中で手土産ワインが粉々に割れ,あらゆるものがワイン漬けになっていたのです.赤ではなく白だったことがまだ救いでした.まあこれはスーツケースに詰める時にフリースでぐるぐる巻にするだけで安心していた私のミスなのですが.そのとき思ったのです「こんなクソみたいな思いして帰ったからには何がなんでも受かってやる.」と.

ようやく日本に帰国してからも細々とした不運なことが起こり(特急はるかの信号故障による運行停止など),結局ホテルに帰りついたのは予定より1日遅れの夜の9時.心身ともに疲れ果てました.しかし,学振DCはこれだけ必死に帰国してまで受ける価値があるものなのです.

 

博士後期課程の収入に関して

アメリカのラボにきてまず驚いたのは,結婚してはるPhDの学生さんがたくさんいはること.中には子供がいらっしゃる人もいます.``奨学金やRAでのお給料をもらって収入が安定しているから”というのがやはり一番大きな理由だと思われます.学生ながらも,暮らすだけのお給料をもらうのは一種当たり前であるといった雰囲気を感じます.

これに対して,日本の博士後期課程学生は,なぜこんなに貧窮しているのでしょう?学振DCという,実質唯一の安定した奨学制度があまりにも狭き門だよなあ,とふと思うわけです*15.別にそれで日本の博士後期課程学生が本当に飢えて死ぬわけではないですが,現状が続けばどんどん優秀な人が国外に流れていくし,それを止める権利もないよねと思うわけです.ただ,まあ,といっても私はあんまりそういったことを深く突き詰めて考えられるタイプではないので,個人的に,私がおばあちゃん教授になったら学生を支援するファンド*16でも設立できたらいいなあ,とぼんやり空想する程度です.まずはおばあちゃん教授になるところからですね〜.他の博士後期課程学生さんはどんなふうに思っているのでしょうか,いつか聞いてみたいです.

ぷすこ,アメリカのごはんをもりもり食べる

アメリカのごはんが何だと思われるかもしれませんが,これがすごく美味しいという事を主張したいのです*17.そこらへんのカフェも安くてボリュームあるし,ファーストフードすらおいしい.そこらへんで売ってるクッキーやケーキなんかも少し甘めかなくらいでやみつきになるおいしさ.当初の「原色・激甘・量が多すぎ」のイメージは完全に払拭されました.f:id:pusuko:20121209144441j:plain

大学の学食はフードコートのような感じで,いくつかの店subwayやらpanda expressが入ってます.ファーストフードでは,habit burgerが安くてバンズもふわふわでなかなかのコスパです.バーガーの話になったときに必ず名前が出るin-n-outはまだ試してませんがオススメとのこと.カリフォルニアはたくさんの移民がいるからか,中国,日本,ベトナムなど,各国の料理が楽しめるイメージ.そしてなによりメキシカンが美味しすぎる!なかでもchipotleは中毒性のある美味しさ.日本で出店してないのが謎.ぜったいにヒットする.あと自然派スーパーtrader joe'sがすばらしい.美味しいわ安いわ珍しいもの売ってるわで何時間いても飽きない.

f:id:pusuko:20121209203443j:plain

 

アメリカ飯がまずい?

上述の一時帰国の際,サンフランシスコから日本に向けて出発する飛行機の中で私はたいへん驚きました.こんなにおいしいアメリカ飯なのに,カリフォルニアを旅行してたとおぼしき日本人が

「楽しかった〜.でもずっとは住めないよね.ごはんマズすぎ!」

と言ってはったからです.私も渡米時に抱いていた「アメリカ飯がまずい」という認識が一般的にあるのは,「日本人観光客用のツアーに組み込まれてるアメリカ飯が経費削減されててまずい」のではないでしょうか.その時ふと思ったのです.なんか「彼ら損してるな」と.

 

英語について

既に英語でのコミュニケーションに自信がある人には,必要のないことですが英語学習に関して思ったことを書きます.私はずーっと英語が超絶苦手でした(そして,いまもそうです...).修論は英語で書きましたが,そのスピードは亀のあゆみのごとく一段落書くのに一時間かかりました.たぶん,理系学生には特に,私と同じく英語に苦手意識を持っている人は多いんじゃないかな〜と思います.そういった人に伝えたいです.「めちゃくちゃ英語でもいいから,とにかく話すのだ.」と.

発音も悪く文法も間違っていたとしても,意外と海外の方々は寛容です.一生懸命話せば同じように一生懸命聞いてくれはります.もしかして,発音や文法を間違うことに一番冷たいのは日本ではないの,という気さえします.「世界で活躍するんだ」「国際社会が〜〜」といった大層なことは置いといて,海外の人と友達になって新しい考え方を共有するというのは単純に面白いしすばらしいことです.だからこそ,せっかく国際会議に行っても「丸暗記したことを発表し,バンケットは身内で固まってて,ちょろっと観光してお土産買って帰ってくる」では,前述した「せっかく時間とお金かけて旅行にいったのに,美味しいものすら知れずに帰ってくる」日本人観光客同様の勿体なさを感じるのです.

なんだか自分で書いてて「まだD1のひよっこのくせに知ったかするな!!!くそが!!!」という気持ちでいっぱいになりましたが,実はここが学部や修士の学生さんにむけて一番伝えたいことだったりします*18.ぜひ積極的に機会をつかんでください.

*1:遅くなってごめんなさい

*2:就活したことないリスト:https://twitter.com/yonetaniryo/%E5%B0%B1%E6%B4%BB%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%84

*3:私もこれまでSNSを通して沢山の方にお世話になったので,お気軽にどうぞ.

*4:水滸伝北方謙三

*5:忙しいm先生ですが,A4に10pt程度でぎっしりと推薦文を書いてくださりました.この大恩はいつか返さねば....

*6:どこに行ってもOK,いつ行ってもOK(採用年度内なら),研究員としての在籍でOK(入学しなくて良い),という条件で,自由度が高い割に用意する書類も少なく,時間的なコスパがかなり良い.院生は時間が無いのでコスパ大事.出して損はなしだと思います.ただし,募集対象は院生に限る,とのことですので,進学する/した人か,休学する気概のある人に限ると思いますが.

*7:詰んどるランキングの意.弊研究室で定期的に発表される.

*8:これは院の講義ではそんなに大変なことでは無いはず.レポート出し忘れたり,試験を寝過ごしたりしなければ.

*9:なかなか難航した.わずかな縁があった某CV系の研究室に申請しようと画策し,ちょうど近くの会議に行く予定だったラボの先輩に履歴書等を託して直接教授へ手渡ししていただいた.そして5月にskype面接.6月にinvitation letterをいただく.

*10:予備審査は公聴会前の研究発表の場.ここでいただいたコメントを修論に反映させることが修了要件となる.それと短期修了の場合は,さらに「短期を認めるか協議する委員会」の設置が必要.予備審査資料とは別に,これまでの業績,研究計画などの書類も用意する.

*11:米国ビザ申請に関しては,わんやさんの日記を参照されたい.私の場合は受入機関が大学だったので必要な書類も少なく,比べてみるとずいぶん楽だったようす.当時はあっぷあっぷしてたけど.

*12:学部3回生の学生さんに90分講義するなど良い経験ができたので良かった.

*13:これは癒しの時間だった.学部2回生は弟妹のようにかわいかった.ただ「他人のコードを読む」という課題の採点部分は苦行だったので,後輩に押し付けようと画策したが失敗し,結局は自分も分担してやった.苦痛だった.

*14:もちろん大学によって制度が異なると思いますので,自分の大学の制度をちゃんと確認してください

*15:もちろん,十年前に比べればずいぶん門戸が広がったのはわかってます.

*16:学生ローンではなく.

*17:ちなみに私は,食べ物に関して好き嫌いが多い方です.

*18:一番伝えたいことは,言葉にするのが一番難しいという...