友だちパラドックス
論理的パラドックスとはなんとも面白く魅力的なもの.
私が論理的パラドックスと呼んでいるものは大きくわけて2つの種類に分類できる.
(1)直感的には正しくみえるが,実際は間違っている.
(2)直感的には間違っているようにみえるが,実際は正しい.
(1)について
アキレスと亀などが最も有名だろう.
「アキレスと亀」
あるところにアキレス(人間)と亀がいて,彼らは競争することになった.
亀はハンデとして少し進んだ地点Aをスタート地点とした.
両者のスタート後,アキレスが地点Aに達したときには,亀はそれまでにかかった時間分だけ先に進み,地点Bに達している.
アキレスが今度,地点Bに達したときには,亀はまたその時間分だけ先へ進み,地点Cに達している.
このように,亀が今いる地点にアキレスが達するまでにかかる時間の分だけ
亀はさらに先の地点へ移動しているはずであり
このことからアキレスは亀に永遠に追いつくことができない.
さらに私という人間は,ハゲという悪口を特に好むので
ハゲ頭のパラドックスなんかも大好きである.
「ハゲ頭のパラドックス」
ハゲの人に毛を数本植えてもハゲである.
この毛を数本植え,ハゲと認める作業を繰り返すことによって
全ての人が持つ髪の本数と一致させることができる.
すなわち,人類はみなハゲであるといえる.
(2)について,
また一方で,数学的に正しい結果が得られているにも関わらず
直感的に矛盾しているようにみえるものもある.
例えば…
いま縦*横が1[cm]*1[cm]の正方形がある.
この縦を1/2,横を2倍にした長方形を底辺の位置を一致させるように隣にならべる.
さらに,その長方形を縦を1/2,横を2倍にし,隣にならべる…
ということを無限回繰り返す.
すべての四角形を足し合わせた図形Aの面積は,
各々の四角形の面積1を無限個足し合わせたものとなり,無限になる.
ここで,この図形Aを横軸を軸としてくるっと一回転した立体Bを考えてほしい.
立体Bはだんだんに細くなる円錐のような形になる.
この立体の体積は,
π + (1/2)π + (1/4)π ...
となるので,全部でたったの"2π [cm^3]"となる.
つまり,2π [cm^3]のペンキを立体Bの中に用意して,図形Aをじゃぽんと浸ければ
無限の面積が有限の量のペンキで塗れちゃうのである.まっこと不思議.
さて,ここで,新しく命題をひとつ述べる.
今とても大好きな友だちがいる.
その友だちとは,1秒後も変わらず友だちだろう.
すなわち,どれだけ時間がたってもずっと友だち.
これが友だちパラドックス.
さて,これは(1)と(2)どちらであろうか.